数学が気になる全てのプログラマへ!!『グッド・マス』が日本語で出ます

対象をかなり大きくしましたがオススメしたい気持ちは本当ですよ :)

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『グッド・マス』とは

MARKCCによる数学ブログの Good Math, Bad Math, この記事をまとめて本として出版されたのが Good Math です. MARKCCさん自身はプログラマであり, その視点から数学を題材にたくさんのブログ記事を書いています. その語り口は軽妙といった感じで堅苦しくなく, MARKCCさん自身のワクワクした気持ちを文章に乗せています.

『グッド・マス』の面白いところ

各部ごとに見どころがあるのですが, この本の面白いところは部を跨いで題材が関係を持つところです.
第I部で出てきたペアノ数が第IV部でPrologで実装されたり第VI部でチャーチ数として登場したり.
第IV部で出てきた一階述語論理が第V部の集合と強い結び付きがあったり.
第II部の黄金比でちらっと出てきた連分数が, 第III部でさらに話が広げられたり.

私はこういう「一見異なる見た目のものが実は同じものだった」という話が大好きで, これが数学の魅力の1つだと思っています.

この本では関連のある話題への参照があるので, それを辿って色んな部を読んでみるのも面白いかもしれません.

(個別の話になると長くなってしまいそうなので, それはまた別の機会に語ろうと思います.)

個人的な想い

golden_luckyさんのつぶやきに 見事に引っかかって しまったのが私です(笑) この頃に意識していたのは「数学を知りたい学びたいけど, そのきっかけが掴めないプログラマの人にどうしたら数学を届けることができるかな?」ということです. 偉そうに教えたいわけではなくて,「プログラミングという数学に近い活動をしていて興味もあるのに数学の面白さに触れる機会が無いのはもったいないな」や 「数学を楽しいと感じる経験を一緒にできたら嬉しい」という気持ちから何か行動したいなと考えていたのでした.

スタート代数 という勉強会もその行動の1つでした. けっこうガチなゼミ形式でやってみたのですが, かなりガチにやり過ぎたため負荷が高くあまり続きませんでした. きっちりやろうとすると人数は増やせないし, 私が発表を用意して大人数で聞くだけにすると自分の頭で考えるという数学の楽しみは体験できません. そしてどちらも私の準備時間が膨大になると長く続くとも思えません. そんなモンモンとしていたときにGood Mathという良さそうな本を知り, これを翻訳したら個人で勉強会を開くよりもより多くの人へより深い話を伝えられると判断しました.

(本を書くという話だと, このブログ記事も良かったですね. → 技術書執筆に関するお金の赤裸々な話)

翻訳作業について

翻訳では「数学として嘘をつかないこと」「原文の軽快な雰囲気を無くさないこと」の両立に気を配っていました.

とはいえ実際の翻訳作業では第三者的に面白いエピソードはあまりなく, ただただ淡々と訳文を原稿に打ち込んでいました. 本の内容は幅広いし, 個々の話題は軽く扱えるものではないし, 足りない知識は勉強しつつ訳していたしで, 本の見た目の印象より作業量は多かったです. 「人に解説するには, 話す内容の3倍は知っていけない」と言いますが, まさにその通りでした. (気になった数学書はその都度買っておくと, こういうときにすぐ参照できて便利ですね!)

訳文がこなれてなく日本語としての修正がだいぶありました. 数学の証明を書いたり, 技術文書の翻訳をしたことはありますが, それよりも柔らかい文章を本格的に書く経験は無かったです. もちろん全力で訳文の調整をしましたが, 編集者さんの力が無ければここまでできなかったと思います. ここはこれからも修行を続けていきます.

今後?

翻訳というアウトプット作業が続いたので, しばらくはインプット作業を優先しようと思います. 翻訳でもオリジナルでも本はまたいつか書きたいですね. いつになるかは知らんけど.