第 2 回電聖戦

2014 3/21 (金) 開催の「第 2 回電聖戦」の大盤解説を聴講してきました.

感想

そもそもプロ棋士を直接拝見するのも, 大盤解説を聞くのも初めてでワクワクしながら会場に向かいました. 会場は電気通信大学で, そこの伊藤研究室 (←表現が正確じゃないかも) と日本棋院が提携してこのイベントを開いているようです.

あ, そう言えば電通大に行ったのも初めてでした. 街の中にある大学, という感じで, 都会的でお洒落な印象を持ちました. 立看だらけだったり, 築70年くらいの寮があったり, すごく雑多だった出身大学を思うと,「綺麗だなぁ」という印象が強かったです. (聞くところによると, 今の時期は新歓の萌えな立看が並ぶという話もあり, 電聖戦のために移動したのかもしれません.)

会場は大学の大講義室で懐しい雰囲気を味わえました. 全部で 200 人くらい入れそうな部屋の後ろ 1/3 に放送機材などが設置され, 前 2/3 がほぼ人で埋まっていたので, 100 人超が現地で大盤解説を聞いたことになると思います. 現地以外にもニコ動の 竜星囲碁チャンネル で流れてたり, 5/25 (日) に 囲碁・将棋チャンネル でも放送されるそうです. そういう視聴者を入れるとどれくらいの人が観戦していたのでしょう? それなりに盛り上がったのではないでしょうか.

人間側棋士は 依田 紀基 九段, コンピュータ側は Zen と Crazy Stone. それぞれ先週の土日に行われた UEC 杯の優勝プログラムと準優勝プログラム. (Zen の開発ページは見付けられなかったので, こちらのインタビューをご参照ください. http://www.hummingheads.co.jp/reports/interview/1307/130704_01.html) 解説は 小林 覚 九段下坂 美織 二段 のお二人です. 時折, シニカルな笑いを誘いつつ, ご自身の印象を中心に述べる小林九段と, 棋士とコンピュータ囲碁の両者に配慮したバランスの取れたトークで, どちらにも変に偏らない空気を作っていた下坂二段のペアの解説に, 分からないなりに大いに楽しませてもらいました.

会場の雰囲気

私は前から 4 列目に陣取ったのですが, その付近の方々はやはり熱心な方が多いようで, 大盤解説にツッコミを入れる方もいました. コンピュータ側が変な手を打つと「えぇっ!?」という声を (複数の方が) 上げたり, そこまで行かなくても「ザワッ…」という雰囲気が生まれたり, 何か一体感のようなものが生まれていて, 不思議な心地良さがありました. (碁会所ってこういうとこなのかな? それなら行ってみたい.)

これは勝手な先入観だったのですが, ご高齢な方々はコンピュータ囲碁とか知らないんじゃないかと思いきや, 周囲の会話から漏れ聞こえてくる様子ではかなり活用されているようで意外でした.

対局とその結果

対局の内容を理解し解説できる棋力は持っていないので, 棋士と開発者の方々の言葉をそのまま使いますが, 第 1 局が Crazy Stone の 2 目半勝ち, 第 2 局が依田紀基九段の中押し勝ちでした. 依田九段は, 天頂の囲碁 という Zen の思考エンジンを搭載した市販囲碁ソフトを研究されたそうです. その中で, Zen が過って手入れを忘れる性質などを発見され, 実際の対局でも Zen の間合いを見切っていた感じでした. 逆に, 第 1 局の対 Crazy Stone 戦では Zen とは違う打ち筋にやられてしまったそうです.

両方のプログラムがモンテカルロ法をベースにしているのに, 棋風が違うのが面白いと感じました. どういう仕組みになっているのか追ってみたいところです. この本がその入口になりそうです.

コンピュータ囲碁 ―モンテカルロ法の理論と実践―

コンピュータ囲碁 ―モンテカルロ法の理論と実践―

コメントなど

対局の解説中に小林九段が「かわいい手」や「こっちの狙いか?」など, あたかもプログラムが人間であるかのように語るのが興味深かったです. それが人間の思考方法 (世界の捉え方) なのでしょうが, プログラムだと分かっていてもついそう感じれしまうのでしょうね. 開発者としては, そのコメントされた手について「プログラムがなぜそう打ったのか?」についてログを読んで解析, 研究をするのでしょうね.

運営上, 気になったのは Remi さんに通訳を付けてあげられなかったのだろうか? という点です. ほとんどが日本人という状況では, ほぼ全ての会話が日本語で行われ, Remi さんはそれに追い付いていけてないように見えました. (もしかしたら, 単に奥床しい性格なだけかもしれませんが.)

これは贅沢な注文かもしれませんが, コンピュータ囲碁が分かってる人の解説も欲しいなと思いました. Crazy Stone がヨセの終盤で, 目数を気にせずダメを詰める動きをしたのですが, あれは勝率しか気にしないモンテカルロ法らしい動きでした. そのコメントが詳しい方から欲しかったです.

まとめっぽいもの

もちろん全体を通しては, とても楽しいイベントでした.

やっぱり, プロの人間に挑戦するコンピュータ囲碁 (正確には, コンピュータで武装した人間) という上下関係は面白いです. 電王戦の方は色々モメてますが, この上下関係が崩れたために起きている部分が大きいんじゃないでしょうか. 囲碁はまだ 4 子局で勝ったり負けたりなので, コンピュータ囲碁でその心配はしばらくは無さそうですが. どうもモンテカルロ法も最近は棋力の伸びが頭打ちなようで, 次の革新的なアルゴリズムが期待されているそうです. この良い雰囲気の盛り上がりを維持したまま, 来年の第 3 回電聖戦が開催されることを心待ちにしています.

最後にこのイベントの開催に関わった全ての方々に感謝を表明いたします. 来年も同様にこの電聖戦というイベントが開かれることを願っております.

それでは.

おまけネタ

  • 依田先生の気迫, オーラがすごかったです.
  • とても綺麗な下坂二段の落ち着いた解説進行に関心しました. 場慣れしてるなぁ, という感じでした.
  • 棋譜を取ってたけど, 実戦と解説と両方観てると追い付かなかったです. 棋譜を取るソフトを用意して行けばもう少し楽にできたと思います.
  • 電通大についてつぶやくと, 何人かの人が反応する.